天罰

「ここにいた蝶のさなぎを知らないかね」
アシナガが言う。
「知りまへんなー」
「本当に知らないのかね」
「変な言い掛かりを付けないで下さいよ、知りませんよ」
なんで昆虫に丁寧な言葉使いをしなければいけないのだ。
たしか奥に殺虫剤があった筈だ、よーし。
「おい、お前、変な事を考えてるんじゃないだろうな、無駄な抵抗は止めろ。
身のためだ」
「そ、そんなこと・・・・・」

　暫くの沈黙の後厳かな声が響いた
「この男はあげはになろうとしていたさなぎの命を奪った。
よって有罪とする」

　頭がクラクラしてきた。妙にはっきりした夢だ。
中年男の夢ってさえないなあ、なんて事を考えていると
一際大きな羽音が聞こえて来た。
見上げると大きなスズメバチが飛んでいる。

　オレンジ色の顔、黒と黄色のボーダー柄が恐ろしい。
せめてタイガースみたいにストライプだったらまだいいかも、なんて
馬鹿な事言ってる場合では無さそうだ。
ひょっとしたら有罪の罰ですかーこれは。
「勘弁して下さい」涙声で悪あがきをしてみた。

以前活けてたカラーをどんどん水きりしてたら短くなってしまいました