五話 愛される虫
私は彼に言った。
「いいかい、我々はアイドルにならなければいけない。
皆に愛される虫にならなければならないんだ。
さもなければ、いつまでも台所の暗がりをコソコソと逃げ回るだけの人生だ」
「ボクは逃げ回らない」
とカーナは言った。
私は彼に言った
「でも嫌われている。夜のリビングに君がブーンと飛んでごらんよ。
皆、目を吊り上げてキャーキャー叫んで、挙げ句の果てにはスリッパで
叩かれてぼろ雑巾みたいになって家の外にたたき出されるのがおちさ」
「愛があればそんな事にはならないのだよ、今、人間の間ではセカチュウやら
韓流等という純愛物がもてはやされている。私達も愛される虫になればいいのだ」