指きり

kazurateiutubo2006-08-16



アルミの袋をカッターを使って開けていた。
いつもの事なのでなれていたのに、この日はカッターの切れ具合が悪い、
少し力を込めて切った。
その途端、何を思ったかカッターの刃が、私の親指めがけて動いて来たのだ。

「アバッ」その刃は私の親指にくい込んでいた。さほど痛みは感じないし、
血もでないゾと思ったら出て来ました。いっぱい。
「アバッ」「アバッ」と慌てながら、この親指をどうしたらいいものか、考えた。
そうだ、口にくわえて消毒&血止めだ。頭の片隅でテレビドラマに良くある1シーンが浮かんだ。
でもあれは、美人の女性が「痛い」と言った所を隣のかっこいい男が女の子の指を加えるんだよなー。
まあーいいか、などと思いを巡らすが、なかなか血は停まらない。

ここでティッシュを指に巻いて、なおかつ切った所を強く押して止血する。
ティッシュは瞬く間に赤く染まる。こんなに血を見るのは何年ぶりだろう。
ちょうど良い機会だ。この際、汚い血を出してきれいな体でもう一度出直そうじゃないか。
清く正しい人生の始まりだ。ナドと考えたが、なかなか血は停まらない。
ティッシュの上から輪ゴムをぐるぐる巻にしてみた。停まった。
オー我が浅知恵も役に立つではないか、えらいえらいと言いながら家に帰る。
 

家に帰ると、まず家人が血の付いたティッシュを見て「気色悪うー」と叫び。
事の顛末を聞いて、子供は、口にくわえたのか?「きったねぇー」とほざいたのだ。
誰一人、真剣に心配する奴はいない。まあー予想していた通りの展開だったけど、ちょっと寂しい。
ヒョーと背中を北風が吹き抜けて行ったのをしっかりと感じた。